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「コンビニ人間」(村田沙耶香)

コンビニバイト歴18年、彼氏なしの36歳が主人公の物語。
日々コンビニ飯を食べ、コンビニ店員である時のみ世界の歯車になれている主人公のもとに、婚活目的の新入り男性が登場する事から物語が動き出します。
第155回芥川賞で話題となった作品でもあり、文庫本化が気になっていた作品です。

読み始めてすぐに「これはコンビニをテーマにしたお仕事小説じゃないな」って思い知らされました。
コンビニ店員の仕事事情も所々に散りばめられているんですけれど、人間の多様性や「普通の意味」を考えさせられる問題作ですね。
つい最近読んだ、朝井リョウさんの「正欲」とは違い”怖さ”を感じた作品でした。

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「ファミリーツリー」(小川糸)

父のいとこにあたる少女に恋をした少年と、あたたかく見守る大人たちの物語。
信州を舞台とした作品で、思わず旅に出たくなる風景描写。
小川糸さんの作品では鎌倉や瀬戸内を舞台としたものもあり、その風景描写も素晴らしいのですが、今回の信州も旅したくなりましたね。
「生命のつながり」「家族のあり方」をテーマとした作品ではありますが、純粋な「恋愛小説」としても楽しめる一冊となっています。

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「ぎょらん」(町田そのこ)

人が死ぬ際に残す珠と噂される「ぎょらん」をめぐる7編の連作集。
ある理由で都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続ける、地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺を中心として「ぎょらん」にまつわるストーリーを展開していきます。
人生の最後にあらわれる「ぎょらん」を通して、”命に対する贖罪”や”死者への後悔”、そして残された者の”生”への葛藤。
何度も読み返すことでその時々の想いが変わる作品の様な気がします。
各編を読んでいて様々な事を考えさせられる一冊でした。

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「和菓子のアン」(坂本司)

高校卒業直前の街頭インタビューで将来の夢を聞かれたアンちゃんは迷わず「自分のお金でお腹一杯にお菓子を食べる事です!」と答える身長150cm、体重57kg、才能も彼氏も身長もないくせに、贅肉だけは売るほどある18歳の女の子梅本杏子(通称アンちゃん)を主人公とした物語。

高校は卒業したものの、大学へ行くほど勉強は好きじゃないし、専門学校に行くほど好きなことも見つからず、さりとていきなり就職するのもピンとこない。

そんなアンちゃんが働き始めたのがデパ地下の和菓子店「みつ屋」。個性的な店長や同僚に囲まれながら、和菓子の奥深い魅力に目覚めていく、ちょっと変わった”お仕事ミステリー”ですね。

上生菓子から季節の菓子まで「和菓子の歴史」が満載のストーリーは、読んでいて引き込まれますね。今まで触れる事のなかった”日本の食文化”について読みながら考えさせられ、勉強させられました。

文庫化された作品は本作の他に「アンと青春」「アンと愛情」と約一年ごとのアンちゃんの成長が描かれていきます。

アンちゃんが今後どう成長していくのか?楽しみなシリーズになりました。