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「任侠シネマ」(今野敏)

任侠シリーズの第5弾。

出版社、学校、病院、銭湯と再建してきた東京下町人情ヤクザ阿岐本組が、今回はミニシネマ再建に奔走します。
任侠物ってどうしても暴力団同士の抗争や一般人への暴力や嫌がらせなど、血生臭いストーリーになりそうですが、本シリーズは決してそんな展開には持っていきません。最初は見た目や言動で警戒する一般人も次第に親分や組員の人柄や人間性に惹かれていく。
”反社会勢力”と言われる人達を、”反社”の一言で括って欲しくないとあらためて思わされる作品ですが、決して美化したり賞賛する事なく、あたたかい作品に仕上がってますし、ドンパチした抗争もありません。


これまでの「仁侠〇〇」シリーズと多少違うのは、親分と代貸の日村以外はあまり表にでなくなってしまい、子分たちの個性があまり発揮される事はなかったのが残念な点でした。
しかし、”暴対法”の施行や”半クレ”と呼ばれる組織の増殖等、現代社会の問題点を考える意味でも、面白い作品だと思います。


今野さんの作品は「任侠〇〇」シリーズしか読んでいないんですが、他の作品も手に取ってみたくなります。

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「流人道中記」(浅田次郎)

江戸時代末期、姦通の罪を犯した旗本:青山玄蕃。
奉行所は慣例に沿って切腹を渡すが「痛いからいやだ」と言って蝦夷松前藩へ流罪となります。
押送人として19歳の石川乙次郎と一緒に奥州街道を北に進む事になります。

街道沿いで出会った人々と玄蕃と乙次郎の交流。
読み進めていくうちに正直胸が熱くなりました。

江戸末期舞台と言えども、随所に散りばめられている玄蕃の言葉は色あせることなく、今の世でも感銘を受けるに違いありません。
今までも浅田次郎さんの時代劇小説「壬生義士伝」「一路」と読んでますが、本作はどの物語よりも深く胸ぬ迫るものがありますし、あらためて”生きる”って事を考えさせられますね。
本作は出来れば連続ドラマで映像化して欲しい。映画の枠では収まらないはずですから。

しばらく余韻に浸れそうな作品です。