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「余命10年」(小坂流加)

主人公の高林茉莉は二十歳を過ぎたばかり。ひとたび発作に襲われると咳が止まらなくなり、ベットの上でもがき苦しむ。
酸素マスクをしたり外したり、集中治療室と病棟を行ったり来たりの日々が続いている。
院内のインターネットで自身の病状を調べ、余命10年である事を知るところから物語が始まっていきます。

自身の病気に向き合おうとする茉莉の姿には、今までの”病気をテーマとした涙頂戴もの”とは違った作品となっています。
生きている間に何か残そうとする彼女のパワーを感じずにはいられません。

そんな本作ですが、最終章はそれまでとは違った雰囲気となっています。
これが本来の彼女の本音なのかも知れない。

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将来を夢見る力を捨てた
仕事への憧れを捨てた
人と同じ生き方を捨てた
子供を作る希望を捨てた
結婚・恋・愛を捨てた
残ったのは家族だけだ。
それだけは捨てられない。
捨てたくてもこれを捨てたら生きる手立てがなくなってしまうというドライな理由のみで手元に残した。
・・・

生きる意味を、様々な角度から考えさせられた一冊でした。