阪神・淡路大震災で両親を失った少女・丹華(ニケ)の物語。兄妹とともに医師のゼロ先生に瓦礫の中から助けられ、復興へと歩みを進める町で、家族としての”絆”を育んでいきます。
助け出された際に足を負傷したニケは小学校でもほかの友達と違うと悩み、涙を流しますが、ゼロ先生から励まされます。
「ニケ。お前はな、ほかの子とは違う。お前の足は、もう、もとには戻らへんのや。それでもな。それでも前へ、前へ。歩くんやぞ。進んでいくんやぞ。なんでかわかるか!。人言うもんはな、ニケ。前を向いてしか、歩いていけへんのや。後ろ向きに歩いてみ。ひっくり返ってしまうやろ。」
「ゆっくりでええ。ほかの子に、追い抜かれたってええんや。自分の足で、前へ、前へ。歩くんや。進んでいくんや。」
そんなニケは心療内科医のゼロ先生とともに、焦土となった町で途方に暮れた人たちを癒していくことで、恋に落ちたり、自身の生きがいと希望を見つけていきます。
天災をテーマにした物語で、震災時の描写やその後の残された人達の描き方も身に迫るものがあります。しかし物語の後半は原田マハさんの作品には珍しくファンタジー的な描き方になっています。ギリシャ神話に出てくる勝利の女神と同じ名前を与えられたニケの名前の由来と、タイトルの由来も明らかになります。
阪神・淡路大震災、東日本大震災の天災を描いた作品は何冊か手にした事はありましたが、このアプローチは西洋芸術に造詣の深く、関西で学生時代を過ごした原田さんの想いを痛感させられました。原田さんファン以外の人にも手に取って欲しい一冊です。