「チーム・バチスタの栄光」シリーズの海堂尊さんが描いたCOVID-19をテーマにした作品で、「コロナ黙示録 2020災厄の襲来」「コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴」の2作です。
2019年末からのコロナウイルス発生前から2021年7月までのコロナ禍の日本の対応をフィクションとして描かれています。豪華クルーズ船内での新型コロナウイルスのクラスターの発生など、政府・行政・自治体の対応や医療機関の対応まで、現実とオーバーラップして描かれてもいます。
コロナ対応の渦中での”公文書改ざん問題”、”首相交代問題”、”東京五輪問題”も網羅した本作は、フィクションである事はわかっていながらも、現在の”二ホン”の問題点を洗い出しているような気がしますね。
学術会議の推薦拒否を受けた歴史学者の言葉が心に残ります。
・・・「首相は『責任は痛感する』と言うが、責任は『感じる』ものではなく『取る』ものだ。責任を取らない、無責任で恥知らずな連中が権力を握っているのは残念な事だ。」・・・
・・・「現政府は米国との日米地位協定の改正など微塵も考えず、世界唯一の被爆国なのに核拡散防止条約の締結もしない。日本国民の責務と矜持をドブに捨てる行為だ。矜持なき国は亡びる。その意味で現在の政府は亡国政府とだと言って差し支えない。」・・・
「チーム・バチスタ・・・」シリーズは読んでいないのですが、未読でも登場人物達の”立ち位置”は充分理解出来ました。
文庫本の帯に記載された以下の文章が本書の全てかも知れません。
「近い将来、また襲ってくるであろう新たな感染症に対しても、本書はまたとない警告の書となるはずだ」