東京の老舗料亭で修行をしていた紫紋(しもん)。料亭で起こった事件に機に、人生の終わりの地を求めて彷徨い、海岸線沿いの村「尽果(つきはて)」に辿り着きます。崖っぷちに立つ小屋「まぐだら屋」でマリアと出会った事で、紫紋の人生が変わっていきます。
紫紋、マリアの他にも過去になんらかの”罪”を冒して絶望の中で辿り着いた尽果の「まぐだら屋」はそんな人達を温かく迎えてくれます。
・・・死んで楽になるくらいなら、生きて苦しみなさい。苦しみ抜いて、生きなさい。それがあんたにできる唯一の償いなんだ。・・・
これが本作のテーマなのかも知れませんね。
タイトルからもわかる通り、宗教的な側面もある本作ですが、ページをめくっていく毎に切なく悲しくなってきます。そして最後の真実を目の当たりにすると、救われたような気がしました。
”生き方”を描いた作品としては、以前読んで投稿した「生きるぼくら」と近い世界観かも知れませんね。
「生きる意味」を感じさせる壮大なテーマだけに、じっくりと消化していきたい一冊です。